ワイドクラックの科学


クラックがフィストサイズよりも広くなると片手でジャミングをすることが困難になってきます。このような幅の広いサイズのクラックをワイドクラックと言います。手先の保持ができないため通常のクライミングでは使わない腕や太もも、肩や腰など全身を使って登っていく特殊なクライミング技術が必要になる悩ましいサイズです。

フィストサイズ以上をワイドクラックと一言で言い表していますが、その一言でカバーする範囲は広大です。狭い方はフィストよりちょっと広いだけのオフフィストから、広い方は全身がクラックに入るチムニーサイズまであり、ワイド以下のフィンガーやハンドなど細かい分類を全部合計した範囲よりも広いのです。実際の登りではこの広大なサイズレンジに対応する多岐にわたる技術を組み合わせて登っています。

そんなワイドクラック、実はかなり好き嫌いが別れてるんです。もともとクラックが好きで、私に「クラックに連れて行って♪」というタイプの人でもワイドに案内すると半分くらいの人は次のお誘いから何故か急に忙しくなって一緒に登ってくれなくなっちゃいます。。。

登り方がわからない人は悶絶するかもしれないけど、登り方を理解した上で実際に登ってみるとかなり楽しいと思うんだけどな〜

このページではワイドクラックの多彩な登り方の基本的な考え方と、個々の技術のリンクを貼っていきます。

みんなもワイドクラックを楽しく登れますように❣️

ワイドクラックは技術のコンビネーションが大事

ワイドクラックはそれ以外のクライミングと基本的な体の使い方が変わってきます。具体的にはワイドクラック以外が3点支持と2点支持を交互に使って登っていくのに対して、ワイドクラックでは基本的に上半身と下半身を交互に保持して尺取り虫のように登っていくパターンが多いです。

細かい技術に関してはそれぞれのサイズに合わせて書いていく予定なのでそこを見ていただきたいのですが、大事なのはアームバーやTスタックなど、個々の技術をつなぎ合わせて体全体のムーブを起こさないと登れないところです。

技術を理解しないと組み合わせてムーブを起こせない

上で技術のコンビネーションが大事と書きましたが、もとの技術自体が出来なければコンビネーションは成立しません。一つ一つの技術を理解した上で、それの組み合わせ方を覚えていくとワイドクラックが楽に感じるようになると思います。

下の目次ではサイズごとに体全体で使うムーブ、個々の技術を分けてリンクを張っていきます。ちょっと長くなりますが頑張って読んでみて下さい。

つっかえ棒の原理を理解する

私がワイドクラックを登るときに一番使うのがつっかえ棒の原理を利用したムーブです。ジャミングの科学でボトミングタイプと筋力で決めるタイプがあると書きましたが、ワイド系のムーブではボトミングに対応する「つっかえ棒」の効果が非常に強力なのでまずはこの原理を覚えるのが良いと思います。

つっかえ棒の原理は自分の体をつっかえ棒に見立ててスタックする技術です。一例として下のヒールトウを極めている写真を使って説明していきます。

岩に接しているのはつま先のAと踵のBですが、はじめにAからセットします。

・Aのつま先部分はワイドクラック内面の微妙な凸凹を見つけて滑りにくそうな場所にセットします。
・そのままBの踵部分に体重をかけて落としていきます(緑矢印F)
・BはAが引っかかっているためFの矢印どおりではなくAを中心とした円弧に沿って矢印Mのように動きます
・矢印Mはそのまま岩の中に入っていくベクトルで、岩が力を受け止めてくれることで体重を支えてくれます。

ポイントは2つです。

・Aの部分が滑るとシステムが崩壊してしまうのでそこの場所選びが1つ目。
体のどの部分をAとするか、そして荷重方向に滑り出さないようなセットが必要になります。

・2つ目は荷重する角度です
荷重Fと同じ方向にB点は回転(M)しようとします。この回転(M)がしっかりと岩に荷重をかける方向にならないとシステムが崩壊してしまいます。

写真ではヒールトウを例に出していますが、手のひらと肘のチキンウィングや足と膝のフット&ニーも同じ原理です。チキンウィングの場合は手のひらをA、肘をBとして極めるのですが同じように手のひらのA点をセットして肘のB点を回転させるようにして岩にスタックさせます。このようにつっかえ棒の原理はいろいろな技術で応用ができるので、なぜ極まるのかを理解しておくと自分の工夫で色々と応用範囲が広がっていくと思います。

ワイドの技術は多岐にわたっていて網羅するのは絶望的

ここでこんなことを書いてしまうのもあれですが、ワイドクラックの技術は人によって使うムーブが千差万別ですべてを網羅することは到底できない気がします。私も色々と研究を続けていますがまだまだできない(使ったことがない)ムーブだらけで、このページも徐々に足していくような形で書き足す事になりそうです。

そのような状態なのでこのページを参考にされる方もはじめから書いてあるムーブすべてを覚えようとするのではなく、同じような原理で使えるムーブをたくさん覚えるほうが得策です。似たような動きを応用すれば習得が早く、使う体の部位を変えることによって広いレンジでジャミングすることができるようになります。

早晩それだけだと登れなくなるルートが出てくるのでそのときに必要なムーブを一つ覚え、似たような原理で使える他のムーブとまとめて覚えていく、と言うことを繰り返すのが素早く登れるようになるコツだと思います。

目次 サイズによって使う具体的な技術

製作中です、乞うご期待