フットジャムの科学 足の甲サイズ

今回は足の甲までバッチリとクラックに入るサイズのフットジャムについて、小川山でいうとカサブランカのようなクラックでしょうか。手で言うハンドサイズ〜フィストサイズで、私の場合キャメロットの2〜4くらいのサイズでのフットジャムを具体的記述します。最初に基本編を見てから読むことをおすすめします。

→フットジャムの科学 基本的な動き

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ハンドジャムのサイズをそのまま移行できない。

上でハンドサイズと書きましたが、あれ?基本でハンドサイズだと足先しか入らないって書いてたじゃん!なんて思った人、熟読していただいてありがとうございます。たしかに純粋にサイズだけを図るとワイドハンドに差し掛かるくらいでやっと足の甲がクラックに入る程度でハンドと書くのはいささか苦しいです。しかし多くのクラックは完全なパラレル形状ではなく、フレアしていたりサイズの変化があったりして、手はハンドサイスでもちょっと広めの部分にフットジャムを決めたりすることが多いので足の甲まで入ることが多く、あえてハンドサイズまで入れています。

具体例ではカサブランカなどフレアしたクラックがわかりやすいでしょう、手は奥の狭い部分をハンドジャムで使用しますが、フットジャムは手前側の広い部分で足の甲まで使うことが殆どです。実際にジャミングを決めている場所が違うのでハンドサイズと言う表現は適当ではないのですが、現実的にその様な使い方をすることが多いのでそのまま突っ走っちゃいます!

基本的な登り方-垂壁以下編

足の甲まで入るようなバッチリサイズのクラックを登る場合、基本から外れた動きはほとんど必要ありません。自分のふくらはぎが見えるように足を上げて足の裏とクラックが沿うようにします。そのまま膝を真っ直ぐクラックに沿うように持ってくれば自然と足が捻じれてフットジャムが成立します。

ここでのポイントですが、足の甲には関節がないために捻じれのほぼ全てを足首で吸収する必要が出てきます。基本通り岩壁に対して足を垂直に入れた場合、足首の柔軟性が足りずに膝が外に逃げてしまう場合があります。このようなときはかかとを少し上げると股関節に捻れを逃してあげることができるので楽になる場合があるので試してみましょう。
またオープンブックやクラックの奥にフットジャムを極める必要があるときなどもつま先を下げると膝を外に出す必要がなくなるので上手くフットジャムを極めることができるようになります。

フットジャムを極めたらば立ち込んでしっかりと膝を伸ばしましょう。それによって体重がしっかりとフットジャムにかかって手の負担が大きく減ります。

基本に忠実に

こんなことを書くと身もふたもないのですが、このサイズのフットジャムはかなり適当にジャミングしても極まってくれます。しかし今後難しいクラックを登りたいのであれば、このあたりの楽できるサイズをいかに簡単に省エネルギーで登るかが大事になります。今のうちからどういうジャミングをすれば楽に登れるのかを理解しておくと今後の幸せにつながると思います。

足で体重を支える

クライミングの場合クラックに限らず、「いかに楽に登るか」は「いかに足に体重を載せられるか」とほぼ同義になります。クラッククライミングにおける足の甲サイズのフットジャムはDoガバと同じです。垂壁以下なら手を離しても大丈夫!と思えるくらいまでフットジャムを磨き込みましょう。

耐えられない痛みは、やり方が間違っている

足の甲まで入るサイズのクラックではフットジャムがクラックに当たって痛みが出ることは殆どありません。痛すぎて登れない等の場合は、ジャミングの仕方やシューズを見直して見ましょう。

→クラック用クライミングシューズの選び方

足をクラックに入れる角度

基本的にフットジャムを極めるときは足をクラックに対して垂直に入れます。この基本を理解した上で応用としてかかとを上げたり下げたりしてフットジャムをすることはあるのですが、まずは垂直に入れる理由から。

フットジャムはアクティブに自分から足を捻ることでジャミングを極めることもできるのですが、ポケットのように広がったところに足を入れると岩が体を勝手に受け止めてくれるのでかなり力をセーブすることができます。’

この写真のようなクラックの場合、赤で示したスロットにフットジャムを極めてあげるとスロットが勝手に体重を支えてくれます。ここまで顕著でなくても微妙なクラックの凹凸を拾うためにはクラックに対して真っ直ぐに足を入れるとフットジャムを極めやすくなるのでおすすめです。

ただし上にも書きましたが体の柔軟性やオープンブックなどの岩の形状によりかかとを上げないとフットジャムが成立しない場合。また逆のパターンでフットジャムを極めたい場所に届かないときなどはつま先を上げて(踵を下げて)とりあえずクラックの中に足を入れた状態で耐えながら体をズリズリと上げる場合もあります。

傾斜がきつくなってきたらばクラックに対して直角に足を入れて捻じったほうが極まりが良くなるので、難しくなるほど基本に忠実なジャミングが有効になります。

レストとプロテクションセット

足の甲まで入るフットジャムはフェイスで言うガバ足なので、このサイズが出てきたらばレストやプロテクションセットをすることが多いです。この時にジャミングを極めて立ち込むと下に来た足はバッチリとフットジャムがきまっていますが上に来る足が遊んでしまうと手に必要以上の負担がかかってしまいます。

足の甲まで入るようなクラックの場合土踏まずを上手く使って、つま先(甲側)とオポジションを作ってあげることができます。これがバッチリ決まる場所では垂壁以下なら両手を離してレストができるくらい良くきまります。ちなみに踵まで入れば完全にワイドの足使いですね♪

ちょっとだけ昔話

私も初心者の頃はカサブランカで散々フットジャムを練習しました。はじめは上手く行かなかったのですが、膝をフレアしたクラックに引っ掛けることを覚えてから突然フットジャムが出来るようになりました。初めのうちはどうしても内転筋が足りず膝が外に逃げがちだったのですが、膝をクラックに引っ掛ける(ちょっとだけど)事によって足全体の位置が安定してフットジャムがよく決まるようになったのでしょう。

最初のgifアニメをもう一度見てもらいたいのですが、フットジャムを極めた後に膝をクラックに沿わせているのがわかると思います。膝がクラックに沿った位置にあれば後は太ももの力だけで体を上げることが出来るのですが、膝が外側に逃げた状態だとクラックとは違う方向に伸び上がってしまいます。下のフットジャムがちゃんと極まっている足に乗っている状態で膝をクラックに添わせてあげる、そこまで膝が入らない場合はジャミングの位置を変えてみる・・・など、色々と試行錯誤をしてみるとよいのではないでしょうか?

続く