Xスタックの科学

クラックのサイズが広がってTスタックやIスタックが決まらなくなったら徐々にXスタックに移行します。実はIスタックとXスタックの技術はグラデーションでつながっていて非常に似ているのですが、Xスタックの独特な力の入れ方もあるので別項目で書いてみました。

ここで書くXスタックが一般的な名称なのか私達の周りでしか使わないのか私にはわかりませんが、ここではXスタックで統一して説明していきます。

広告

基本動作

・前の足(写真だと左足)のふくらはぎくらいのところに後の足(同右足)の足をセット
・細かい部分はクラック幅によって調整するから場所は自分がやりやすいと思う場所でOK
・足がクロスする場所よりも岩と接触する場所は下になるように(赤矢印)
・前の足はふくらはぎでかなり後ろに押す(緑矢印)
・後ろの足の膝を前に持ってくる(黄色矢印)
・結果として下の足の爪先と上の足の側面が岩に強く押し付けられる

幅の調整

クラックの幅に合わせるには後ろの足をどのくらいの位置で前の足とクロスさせるかで調整しています。狭いクラックは足首に近いところで、広いクラックでは膝の方に寄ってい行きます。テコの原理が働くので、足首に近いところでクロスさせたほうがオポジションの力が強く、膝に近くなるにつれて弱くなるのでその分パワーで補う必要があります。

また膝に近い位置でクロスさせると推進力として膝の曲げ伸ばしを行うときにロックが甘くなったりします。そういう時は、曲げ伸ばしの量を少なくしてちまちまと登るようにするとトータルではらくだと思います。

つま先はスメッジング

XスタックもTスタックなどと同様にクラックを押し広げる力がかなり強いので、前の足はつま先を点で当てるのではなくつま先を反らせてスメアリングする事が多いです。

下の足はふくらはぎを後ろに押しやすいように踵を下げ気味だと楽なのですが、あまり下げすぎると力が抜けてしまうのでこのあたりは実際にやってみて自分にとって一番ラクな角度を見つけるのが良いと思います。

前の足が滑るとシステムが崩壊するので、ここの足置きを丁寧にやってあげるのが大事になってきます。スメアリング〜スメッジング系で滑らなそうな場所を探すのが正解です。

まとめ

Xスタックは組んだときの後ろの足の膝を閉じる方向に回してオポジションを作り出しています。大きい筋肉を使うので動きが雑でもパワーで止まってしまいますが、クラック内の凸凹などの形状をうまく拾って足を置くとかなり省エネで体を保持することができます。丁寧な足置きで楽に登れるようになると良いと思います。

→ ワイドクラックの科学
→ ジャミングの科学