iron工房①クラック用クライミングシューズにアッパーラバーを貼る

私のクラックシューズはすべてアッパーラバーが貼ってありますが、岩場でも興味津々の人が多いようです。なぜラバーを貼り、どのような効果があるのかをここで公開したいと思います。

2021.6.27 大幅に加筆修正しています。

なぜアッパーラバーを貼るのか

クラック用のクライミングシューズは、ジャミングメインで登る場合は細いクラックにも足が入るように足趾を伸ばして履いたほうが有利です。しかし足趾を伸ばして履くようなサイズシューズではノーマル状態だとシューズの甲側の剛性が足りずに力が逃げがちになってしまいます。そこでアッパーラバーで上から抑えることによって趾が曲がりにくくなり、力が逃げないようにするのがアッパーラバーを貼る主な目的になります。このあたりは下のリンクが参考になるので興味があればどうぞ。

→ クラック用クライミングシューズの選び方
→ フットジャムの科学 トウサイズ

副次的効果下記のようなことも期待できます。

・足の甲側にラバーを貼るためにジャムの圧痛に対して強くなります。
・足の甲まで入るサイズの場合ラバーを張った部分のフリクションでジャムの決まりが良くなります
・よく出てくるハンドサイズのフットジャムで使用する部分をラバーで覆うのでシューズの痛みが抑えられ寿命が伸びます

なぜ自分で貼るのか

この作業はバーチなどのリソールショップでもやってくれるのですが、なかなか思う通りにいきません。それはアッパーラバーを貼る最大の目的はつま先のスペースを潰すことなのですが、空間がなくなることで痛みが生じる可能性があるのでショップなどではギリギリを攻めてくれないからです。やはり商売でやっていると「〇〇ショップで改造したら痛くなった」とか噂になると、リスキーなのでギリギリを攻めるのは難しいのでしょう。
そういうときはリスクを取れる個人の強みを発揮して自分でサクサクと改造しちゃいましょう♪

またアッパーラバーはかなりの頻度で剥がれてくるので、自分で貼り付ける技術を身に着けておくとコスト的にも期間的にも有利な気がします。

アッパーラバーの貼り方公開♪

用意するもの

私がアッパーラバーを張るときに用意してるもの達です。
左から「ノギス」「木型」「シューズ」上に「アッパーラバー」。
これの他にプライマー、接着剤、脱脂用アルコール、アッパーラバー制作にグラインダー、接着にヒートガンなどを使ってます

ここで一番むずかしいのは木型を作るところでしょうか。私の場合足型とシューズの形の型を紙に写して、それをもとに差を上手くやりくりしながら木型を作ってます。使ってる木材は加工しやすいSPFの1×4です。1.8mの長さで約280円(近所のスーパーバリュー調べ)とリーズナブルなのも魅力です♪

木型作りに成功するとアッパラバーを張った時にしっくりとするシューズになると思います。最初は失敗すると思うけど自分で行えばやり直しが効くのでまずはチャレンジすることが大事です!

接着剤について

以前はコニシボンドのG17やG103を使用していたのですが、より強力な接着を求めて現在は凛靴onlineから販売されているプライマーとグルー(接着剤)を購入して接着しています。ただコストを考えるとコニシボンドでも良いかな〜と思わなくもないのでそのあたりは自分で試して合う方を選択すると良い気がします。

→ コニシボンドG17
→ コニシボンドG103
→ 凛靴online プライマー
→ 凛靴online グルー

アッパーラバー制作

木型と接着剤も用意できたらば次はアッパーラバーの制作です。

アッパーラバーは要らなくなったシューズからソールを剥ぎ取って再利用しています。形は足先の空間を潰しながら、ジャミングでシューズが痛みやすい部分までカバーできるような形にしています。このあたりも自分のシューズや足型に合わせる部分なので試行錯誤が必要な部分です。

厚みは色々と試した結果、現在は厚み1.3~1.5mmくらいで作っています。柔らかめのシューズは薄めに、硬めのシューズは厚めに作ると相性が良いようです。このあたりはシューズの剛性とのバランスが大事な気がします。

私は厚みを削るのにグラインダーを使っていますが、持ってない人はシューズからランドラバーを剥がして利用するといい気がします。5.10系のランドラバーはクラック用アッパーラバー向きです。スポルティバのは薄過ぎて使いにくく、ボリエールはしなやかさに欠けるので私は使ったことがありません。

私の場合は毎回作るのが面倒なので一度に3〜4足分アッパーラバーを作っておいて徐々に使う感じにしています。

位置合わせ

木型とアッパーラバーの整形が終わったらば、位置合わせをします。

まずは木型をシューズに突っ込んでシワを無くした状態にします。その状態で大体の位置にラバーを載せて白いペンでマーキングしていきます。

次にアルコールを用意してアッパーラバーとシューズのランドラバー接着面の脂分をきれいに拭き取ります。皮の部分にアルコールが付くとランドが剥がれる可能性があるので注意しましょう。

プライマリーと接着剤の塗布

プライマリーを接着面に塗布していきます。ラバーとシューズの両方に薄く塗布して乾燥するまで15〜30分放置します。面倒な場合はドライヤーやヒートガンで乾かしちゃいましょう。乾燥したらば次は接着剤(グルー)をラバーとシューズそれぞれに塗布してやはり乾燥するまで待ちます。

ラバーに接着剤(グルー)と塗布しているところです。なるべく薄く均一に塗るのがポイントです。G17やG103で接着する場合はプライマリー工程がないので、接着面の清掃脱脂が終わったらばそのまま接着剤を塗布します。

接着剤を活性化させて接着!

接着は化学反応なので薬品や温度で活性化させることができます。私の場合は接着力を上げるために加熱をしてからぺたりと貼り付けています。

以前はガスコンロでアッパーラバーだけを加熱していたのですが、最近はヒートガンでシューズも同時に加熱するようになりました。ヒートガン便利!

→ ヒートガン

後は熱いのを我慢しつつぺたりと貼り付けましょう。


エッジの部分が剥がれてこないように入念に叩いて刺激を加えましょう。以前はそれほど差はないと思っていましたが、叩くと多少接着力が高くなるような気がするので最近は説明書通りに叩くようにしています。

エッジの補強

実はアッパーラバーは登っているとかんたんに剥がれてきてしまいます。バーチで貼ってもらったときも剥がれてきたし「力の加わる方向的に、剥がれないように接着するのは非常に難しい」と言っていたのでそんなものなのでしょう。

対策として最近はアッパーラバーが剥がれにくいように貼ったラバーのエッジをセメダインSuper-Xで埋めて延命を図っています。

→ セメダインSuper-X

ここまで終わったらば接着が安定するまで1日くらい圧力をかけた状態でそっとしておきましょう。

実際にアッパーラバーを貼った効果は?

最初に書いたアッパーラバーを貼るメリットに関してはほぼすべて効果がありました。特にハンドサイズのルーフクラックなどでは無類の強さを発揮するのではないかと思っています。

またラバーの剛性があるのでリソールのときにシューズの型崩れが起きにくくなる(バーチの職人さんの話しです)など当初の想定とは違う副次効果も多くありました。リソール耐性が上がるのであれば非常にコスパの高い改造と言えるでしょう。