クライミングwith新型コロナを考える

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人間の弱点を考える

人間の皮膚は非常に高性能で、新型コロナウィルスに限らずほぼすべての感染源をシャットアウトしてくれます。しかし粘膜に関してはそのバリアが非常に弱く比較的容易に感染源の侵入を許してしまいます。この弱い部分は具体的に書くと口や鼻や目なのですが、そこを守ってあげるのが感染を防ぐ第一歩になります。

またクラッククライミングではよく擦過傷を作るのですが、ここも皮膚のバリアが壊れている部分なのでカバーすべき部分に入るでしょう。

感染経路を分解して対策を考える

人間の守るべき部分を理解してもらえたらば次は感染経路について考えてみましょう。新型コロナに限らず感染症対策を考える場合は感染経路を遮断することが大事になります。

接触感染

接触感染とはウィルスや細菌で汚染されたもの、具体的には保菌者の排泄物・嘔吐物・血液・唾液などを含む体液などが付着したものを経由して自分の体にウィルスや細菌を取り込んでしまうことです。これらの汚染物を体の弱点に触れないように気をつけるのが接触感染のおける注意点になります。

クラック

クラッククライミングではクラックの同じ部分で滑ったり落ちたりして擦過傷を作ることが多いのですが、保菌者が出血をしてクラックを汚染した場合、同じ場所で同じように擦過傷を受けた人は感染リスクが高まります。

感染防除という観点ではテーピングテープなどで皮膚を保護して皮膚のダメージを防ぐことが、自分のみを守り、もし自分が保菌していたとしても岩を汚染しないという意味では有効だと思います。

ロープ

ロープに関してはトップロープが一番安全性が高いです。基本的に一度結べば降りるまでロープを触ることはないので、触らない=接触感染リスクが低いの法則が成り立ちます。

リードに関してはできるだけロープを共有しないことが基本になります。特に口でくわえてクリップする習慣のある人はロープ自体が汚染物だと思って扱ったほうが良いでしょう。次善の策として二人でそれぞれの末端を利用して登ると、そのまま同じ末端を使い続けるよりもリスクは減ります。

カム、ナッツ

これが悩みどころですね。ギアセットの性質上どうしても口で咥えてしまうことが多いのでリスクが高いギアになると思います。ロープと同じく各自使うセットをすべて揃えるのが理想的とは思いますがそこまでできる人は少ない気がします。。。

次善の策としては1ピッチ登ったらばアルコールで消毒したりするのも手かもしれません。マルチピッチだとリーダーがセットしたカムをフォロワーが回収する手順になるので非現実的ですが、マルチ行くときは一蓮托生なので、パートナーから感染しても悔いなしと思って行くのが正解でしょうか、笑

ヌンチャク

ヌンチャクは本数を揃えるのはそれほど難しくないので各自で用意してもよいのかもしれませんが、口でくわえることも少ないし共有でのリスクはカムナッツよりは低いと思います。

ただし予めナッツをセットしたヌンチャクは咥えることが多いのでその点はナッツに準じた対策が必要になる気がします。

食事

食事に関しては一番リスクが高い部分です。クライミングしながらの食事は、一度ではなく「登ってはモグモグ、ビレイしてはモグモグ」と回数を分けて摂取することが多いと思います。食物が汚染されると感染リスクは非常に高まるので、食事毎に手の消毒ができるように工夫するのがおすすめです。

私の場合は小さなスプレー瓶に消毒用アルコールを入れて簡単に手の消毒ができるようにしています。簡単にできないと毎回消毒するのが億劫になってしまうのでなるべく簡単にできる方法を各自考えておくのが良いかと思います。

ただエタノールで消毒するとチョークがなんかペタペタするのが難点なんですよね〜これの良い解決法はないんでしょうか?

飛沫感染

新型コロナウィルスの飛沫感染に関しては大きな飛沫から小さな飛沫までいろいろな感染が確認されているようですが、基本的にアウトドアで行うクラッククライミングの場合小さな飛沫はすぐに拡散して無視できると考えられます。

そこで問題になってくるのは大きな飛沫(つばの飛沫)になります。これに関してはマスクとソーシャルディスタンスが有効になってくるのですが、実際に登っているときに問題になるのはマルチピッチでリーダーとフォロワーが終了点に到着したときだと思います。狭い終了点でギアの受け渡しや必要な会話をするとソーシャルディスタンス、、、無理!ってはなしになりますよね。
カムの部分でも書きましたがマルチに行くパーティーは一蓮托生ですねw

あとはビレイヤーが叫ぶとロープに飛沫が飛んで汚染されたり、クライマーが叫んで岩が汚染されることも想定されます。このあたりはどこまで気をつければよいのか悩みどころではありますが、基本的には汚染されたものに触れたとしてもそこから粘膜や傷口にウィルスが移動しない限りほとんど感染しないので、なるべく叫ばないようにするなど、ある程度気をつけておけばよいのではないかと考えられます。

まとめ

こんなこと書くと怒られちゃうかもしれませんが、このような病気に関しては予防しても感染することはあるだろうし無頓着に生きていても感染しないこともあると思います。
事故と同じで絶対に感染しない安全な方法は存在しませんが、なるべく感染しないような方法論をロジカルに理解して自分が行ってきた方法と比較し、明確な理由がない限り感染する可能性が低い方法を選択し続けることが大事だと思うのです。そのためにも感染する可能性が低い状況とはどのような状況なのかを理解して勉強し続けることが大事だと思います。