クラックリードへの道

クラックルートを安全にリードするためにはまずカムやナッツをプロテクションとして機能させるための訓練が必要です。これは登るムーブとは全く別個のものなので意識して訓練しないと身につきません。ここでは技術習得へ至るおすすめの流れを書いていきたいと思います。

1.TRでジャミングが安定するまで沢山登る

プロテクションセットの要点を考えると大きく「安定した体勢を作る能力」と「カムセット自体の能力」に分解することができます。
どちらを先に身に付ける必要があるかというと安定した体勢です。カムセットの能力があっても体勢を安定させて片手を離せなければ何も出来ません。
あれ?プロテクションのことを書いてるはずなのにTRで登り込み???と思うかもしれませんが、まずは片手を離せるくらい安定した体勢を作れるようにしましょう!

2.カムセットの基本を理解する

ここからは1と並行して行ってほしいのですがまずはカムの理解から。ナッツも書きたいところだけどこれを読む人はまずカムからスタートの人なのでプロテクション=カムとして書いていきます。

まずはメーカーの説明書を読んでみましょう、BDのはこれです。昔の説明書では50%~90%閉じた状態で使うように書いてありますが、最近のはレンジが書いてあるだけですね。
しかもかなり数値の書いていない図を見ると開き気味のセットまでOKにしているようです。昔のカムに比べて何が変わったんでしょう?工作精度?材料の剛性?もしかして安全マージンを削った???このあたりの詳細は不明ですがカタログによればここまでOKのようです。

確かにカムローブは対数螺旋でできていて、どの範囲が岩にあたっていても(どの開き具合でも)理屈では同じ効果が得られるはずなのです。しかし現実にはアクスル(軸)やカムローブのしなりの他に岩の結晶が砕けるなどでカムが開くことが多々あるので安全マージンも考えると通常は昔の説明書通りに50%〜90%程度の範囲で使用するのが良いのではないかと考えられます。

ここで50%〜90%とあっさりと書いていますがそれはどの様な感じなのかを写真で見てみましょう。

上の写真にある1は閉じきった100%の状態でカムローブの下辺が垂直になっています。
2は開ききった0%の状態でカムローブの下辺は水平になっています。

0%と100%の下辺を比べると90°違うのがわかると思います、2つ合わせると180°です。下辺が両方とも水平になっているのが0%でそこからカムを絞っていくとだんだんとAの部分に角度がついてきます。この角度が90°にったところが50%ということになります(写真3)

ここから更にカムを絞っていくと先端同士が触れ合うくらいの部分が出てきます(写真4)70〜80%程度絞ったところなのですが、私はこのあたりを理想としてセットしています。

カムはその特性上閉じ気味のほうが強度が高く、ずれたときの安全マージンもも高いのですがあまりにも閉じすぎると回収不能になってしまいます。なので(写真3)以上絞った状態でセットする必要があるときはちょっと注意してセットするようにしています。

3.地上で出来ることをする

基本的なカムセットの方法がわかったらばまずは地上で練習しましょう。クライミングの隙間時間などで取り付きから手の届く範囲のクラックでジャミングとプロテクションセットを繰り返して、体のサイズとプロテクションの番手の関係やを理解するのがおすすめです。ボルダーマットを持ってるならそれを下に引いてカムにぶら下がってみるのも楽しいかもしれません。体重のかかったカムは回収の練習にもなるのでおすすめです。人気の岩場でやってると微妙なのでマイナーな岩場や端っこの方で思う存分どうぞ。

4.上手い人が登った後にフォロー回収させてもらう

カムのセット自体に関しては2〜3に書いたとおりなのですが、実際に登るときにはそのプロテクションセットをどこにどのようにセットするのかが非常に大事になってきます。
私の場合、まずはレストポイントの目安を付けてそこでプロテクションをきめることを前提にその隙間を埋めるように考えていきます。そこから先はだいたい登りながら考えるのですが、だいたいこんなことを考えながら登っています。

・ジャムの邪魔にならない場所
・足でロープを引っ掛けにくい場所
・カムが歩かない場所
・岩の強度がしっかりしている所
・ロープの流れを邪魔しない所
・できれば回収しやすい所
・次のカムで落ちた時にも外れないようなセット
・ランナウト具合

これらの事を素早く目の前で勉強できるチャンスがフォロー回収なのです。

・必要なカムの間隔はどのくらいなのか
・クラックの奥行きのどの部分にセットしているか
・どのような形状のクラックにセットしているのか
・カムセットの角度はどうなっているか
・ヌンチャク(スリング)で延長しているか
・延長している場合はそこがどのような場所なのか
・オボジションやディレクションなどはどうか
・セットしているカムの番手とジャムサイズの関係

こんな事を考えながらフォローすれば色々と学べると思います。

ここに書いたことはすべてが100%満たされることは少なく、どこかに妥協ラインが出てきます。多少効きが甘いけど無いよりはマシとか、岩が脆そうだけどここで取らなきゃこの先ずっとランナウトとか・・・そういうのを悩みながら登るのが非常に楽しいのですが、最初は危険も伴うので模倣から始めるのがおすすめです。

5.カムエイドで登ってみる

カムエイドで登ってみると体重のかかったカムがどのような挙動を示すかを目の前で見ることが出来ます。
TRの状態でプロテクションにスリングを付けてアブミにした状態で登ってみましょう。

・体重がかかったときにカムが開きながら止まる状態
・プロテクション全体が荷重方向に引っ張られていく感じ
・こまかい結晶が残っている場合それを砕く感じ

こんな事を目の前で見ると実際にどのサイズでどのくらいの安全マージンがあると良いのかなどの想像がつくと思います。またリアルに体重をカムで支えることでカムへの信頼感が出てくると思います。

ここまで修行を積めば説明書に書いてあった知識とリアルなカムの動きが連動してきてどのようなセットならOKでどんな状態がNGなのかなんとなく理解できてくることでしょう。

6.擬似リード&フォールテスト

ジャミングは色々と試すけどフォールテストをする人って少ないですよね。ぶっつけ本番で失敗しちゃっうと結構痛いので一回くらいはやってみましょう。
クライマーがTRとリードのロープをセットして、TRをたるませてリードロープに荷重がかかるような状態でフォールします。上手く行けばリードのロープで止まるし万が一プロテクションが外れてもTRにがフォローアップしてくれるから安心です。

7.リード!

ここまでやればリードの準備はバッチリのはずです。あまりランナウトしないようにカムを多めにとってねリードしてみましょう。
あとは体調も大事です初めてのリートのときはよく寝てスッキリした状態で挑むのがおすすめです♪

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