iron工房①クラック用クライミングシューズにアッパーラバーを貼る

私のクラックシューズはすべてアッパーラバーが貼ってありますが、岩場でも興味津々の人が多いようです。なぜラバーを貼り、どのような効果があるのかをここで公開したいと思います。

なぜアッパーラバーを貼るのか

ここで書いていますが、クラック用のクライミングシューズは足趾を伸ばして履きたいのですがノーマルの状態だと力が加わったときに足趾が曲がってどうしても力が逃げがちになってしまいます。アッパーラバーで上から抑えることによって趾が曲がりにくくなり必然的に力が逃げなくなるのがアッパーラバーを貼る目的です。

副次的効果下記のようなことも期待できます。

・足の甲側にラバーを貼るためにジャムの痛みに対して強くなります。
・ラバーを張った部分のフリクションでジャムの決まりが良くなります
・よく出てくるハンドサイズのフットジャムで使用する部分をラバーで覆うのでシューズの痛みが抑えられ寿命が伸びます

なぜ自分で貼るのか

この作業はバーチとかでもやってくれるのですが、なかなか思う通りにいきません。アッパーラバーを貼る最大の目的はつま先のスペースを潰すことなのですが、空間がなくなることで痛みが生じる可能性もあるのでバーチなどではギリギリを攻めてくれないんです。やはり商売でやっていると「〇〇で改造したら痛くなった」とか噂になると、リスキーなので難しいのでしょう。
そういうときはリスクを取れる個人の強みを発揮して自分でサクサクと改造しちゃいましょう♪

アッパーラバーの貼り方公開♪

私がアッパーラバーを張るときに用意してるもの達です。
左から「ノギス」「木型」「シューズ」上に「アッパーラバー」。
これの他に接着剤、脱脂用アルコール、アッパーラバー制作にグラインダー、接着にガスコンロなどを使ってます

ここで一番むずかしいのは木型を作るところでしょうか。私の場合足型とシューズの形の型を紙に写して、それをもとに差を上手くやりくりしながら木型を作ってます。使ってる木材は加工しやすいSPFの1×4です。1.8mの長さで約230円(近所のスーパーバリュー調べ)とリーズナブルなのも魅力です♪

木型作りに成功するとアッパラバーを張った時にしっくりとするシューズになると思います。最初は失敗すると思うけど自分で行えばやり直しが効くのでまずはチャレンジすることが大事です!

アッパーラバーの整形風景

アッパーラバーは要らなくなったシューズからソールを剥ぎ取って再利用しています。形は足先の空間を潰しながら、ジャミングでシューズが痛みやすい部分までカバーできるような形にしています。

厚みは色々と試した結果、現在は厚み1.3~1.7mmくらいで作っています。柔らかめのシューズは薄めに、硬めのシューズは厚めに作ると相性が良いようです。このあたりはシューズの剛性とのバランスが大事な気がしているのですがフィーリングの部分が大きいので理由を言葉に表すのが難しいです(^_^;)

私は厚みを削るのにグラインダーを使っていますが、持ってない人はランドラバーを利用するといい気がします。5.10系のランドラバーはクラック用アッパーラバー向きです。スポルティバのはうすすぎて使いにくく、ボリエールはしなやかさに欠けるので私は使ったことがありません。

アッパーラバーの加熱風景

木型とアッパーラバーができたらば貼り付け準備です。
接着剤(私はコニシボンドG17を使用しています)を用意、そして木型をシューズに突っ込んでシワを無くした状態にします。

次にアルコールを用意してアッパーラバーとシューズのランドラバー接着面の脂分をきれいに拭き取ります。皮の部分にアルコールが付くとランドが剥がれる可能性があるので注意しましょう。

ここまでできたらば接着剤の説明書通りにシューズとラバーの両面に塗布して乾燥します。そしてアッパーラバーを持てる限界まで加熱(60℃前後)しつつシューズの本体側もドライヤーなどで加熱します。
※シューズは加熱しすぎるとランドなど他の接着部分が剥がれてくるので要注意

後は熱いのを我慢しつつぺたっと貼り付ければ完成です♪
接着が安定するまで1日くらい圧力をかけた状態でそっとしておきましょう。
説明書だと叩いたりすると良いと書いてありますが叩いても叩かなくても接着力が大きく変わることはありませんでした。

アッパーラバーを貼った初代(右)~4代目(左)のカタナレースたち。微妙にアッパーの形がが違うのは工夫をこらしてる証拠なんだけどこの程度の微妙な差は性能に大きな影響を与えませんでしたw

実際の貼った効果は?

最初に書いたアッパーラバーを貼るメリットに関してはほぼすべて効果がありました。特にハンドサイズのルーフクラックなどでは無類の強さを発揮するのではないかと思っています。

またラバーの剛性があるのでリソールのときにシューズの型崩れが起きにくくなる(バーチの職人さんの話しです)など当初の想定とは違う副次効果も多くありました。リソール耐性が上がるのであれば非常にコスパの高い改造と言えるでしょう。

アッパーラバーの弱点

そんなアッパーラバーですが弱点もあります。実はかんたんに剥がれてきてしまうのです。バーチで貼ってもらったときも剥がれてきたし「力の加わる方向的に、剥がれないように接着するのは非常に難しい」と言っていたのでそんなものなんでしょう。

対策として最近はアッパーラバーが剥がれにくいように貼ったラバーのエッジをセメダインSuper-Xで埋めて延命を図っています。
それでも剥がれてきたらばサクサクと再接着するのが正解でしょう。

そのためにも自分で貼れる技術を身に着けておくと吉ですよ♪