タイトハンドの科学

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ジャム筋は入るけどちょっと間違うとシンハンドになってしまう微妙なサイズのタイトハンド。決まってしまえばバッチリ保持できるのですがちょっとしたコツがあります。

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手首の厚み

まず人間の手の特徴として一般的に掌よりも手首の厚みのほうがあります。なのでタイトハンドサイズのクラックに手を真っ直ぐにした状態でジャムを決めようとすると手首のほうが先につっかかってジャム筋は入りません。

青い部分がクラックの中を表現しています。一番幅のある手首が邪魔してジャム筋がクラックの中まで入って行かないのが理解できると思います。

逆手

この状態で一番簡単なのは逆手でジャミングすることです。ジャム筋がクラック側になることによって手首が邪魔することなくジャムを決めることができます。

ただ実際にやってみるとタイトハンドで両手とも逆手にするとムーブを起こすことが非常に困難になります。特に斜上クラックでは順手を交えないと人類の限界を超えるような関節可動域が必要になってしまいます。

内転

そこで出てくるのが手首の内転です!上の写真と見比べるとジャム筋がかなりクラック側によってきたのがわかると思います。これではまだジャム筋がちゃんとクラックに入らないのでは?と思うかもしれませんが、クラック幅に多少凸凹があることも勘案すればこのくらいで十分なクラックも多いはずです。

このあたりはハンドがバッチリのカサブランカは登れたけどジャク豆のタイトハンドが突破できない人がよくハマってる部分です。

リーチ

また、この内転に関してはもう一つ、リーチを伸ばせるというメリットもあります。人間の手首は一般的に小指側には曲がっても親指側にはあまり曲がりません。

私の場合はこのくらいの可動域です。

まっすぐジャムを決めた場合、手首の可動域の関係でジャムを決め直さない限り肘の位置も固定されてしまいます。

この状態で次の一手を出すには肘を曲げて肩を引きつけるのですが、当然この一手であがれる距離は片手の長さ+肩幅分だけです。

これに対して手首を曲げた状態でジャムを入れるとジャムを決めた後予め手首を曲げた分だけ肘を動かすことが出来ます。この動きだけで+40~50cmは先に手を伸ばせる事ができます。
また肘が壁から離れる分、懐に余裕が出来てフットジャム決めるのも楽々♪

バッチリサイズのハンドクラックなどではジャムをずらすこともできますがタイトハンドやきまりの悪い形状のときなどは予めこの角度でセットしておくと次の一手が遠くまで出せます。

ただしこの技術は前腕の筋力とトレード・オフの関係があるのでどこで使うか自分のフィジカルと相談しながらやってみましょう。