ハンドジャムの科学

ジャミングはハンドに始まりハンドに終わると教わってから幾年月、私はまだ終わるところまでは行き着いていないのですがハンドジャムが決まらないと始まらないのは確かです。

ここでは基本通りのボトミング系と筋力で止める系統の2つを中心に書いていきたいと思います。

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ハンドジャムの基本

初めに覚えるべきはジャム筋を使ったハンドジャムです。これを覚えてから、並べか脱力できるようにボトミング系の技術を取り入れていくのが早道だと思います。

ジャム筋を使う-筋力を使ったジャミング

上でサラっとジャム筋と書きましたが、それはどの筋肉でどうやって クラックの中で決まってるのでしょうか?

写真はクラック内の手の形を再現していますが、青矢印の筋肉をクラッククライマーの間ではジャム筋と呼んでいます。

ハンドジャムは基本的にジャム筋をふくらませて 緑矢印の部分とオポジションを作ってジャムを成立させています。

親指の使い方

このジャム筋をふくらませることでクラックの中でギューッと突っ張り棒のようにおポジションを決めるのですが、このときのコツは親指を真っ直ぐにして親指全体を手のひら側に移動することです。

このように親指を使うことによって手のひらの厚みを最大に増やすことができ、広いクラック幅に対応することが出来るようになります。

ただしジャム筋がパンプアップしてしまった場合は親指を曲げることでパンプしたジャム筋を膨らませてハンドジャムを決めることが出来ます。風船(パンプしたジャム筋)を押すと他の方向に膨らむようなイメージですね。

ボトミングを使ったハンドジャム

ハンドジャムと言うと上記のジャム筋を使うイメージが強いのですが、ハンドジャムに限らずジャミングで一番ラクな形は「ボトミング+ぶら下がる」体勢です。なのでボトミングを使えるところはなるべく併用した方が良いのですが、文章で説明しようとすると結構難しいんですよね(わかりにくかったら修正していくので教えて下さい)

手首を使ったボトミング

これをハンドジャムとしてよいのか微妙な部分はありますが、形的にはハンドジャムなのでここに入れてしまいます。 青矢印の部分でボトミングが決まれば骨で体重を支えられるのでほとんど筋力を消耗しません。

ポイントは自分の手首手前の腕よりは太いけど手首よりは細い部分を探すことなのですが、なかなか無いし人によってサイズも違うのでこれが使えたらラッキー程度に思っておきましょう。あんまり力を抜きすぎると手首が抜けそうになるのでそこも注意ポイントですね。

ジャム筋を使ったボトミング

手首は骨でできていますがジャム筋は名前の通り筋肉なので力を抜くと変形してジャミングが抜けてしまいます。なのでこのボトミングは上記した筋力を使ったジャミングとの併用になります。

写真にある赤部分のジャム筋の膨らみとクラック内の凸凹を合わせることで引っ掛けてボトミングを成立させます。ボトミングとジャム筋の共同作業になるので、ボトミングだけでは心もとないような出っ張りでも筋力だけのジャミングよりも楽になります。

ボトミングとジャム筋のミックス

ジャム筋を使ったボトミングでも書きましたが、ボトミングを使ったハンドジャムの場合でも殆どの場合ジャム筋を使用する必要が出てくるので明確にボトミングとジャム筋の使用の線引はできません。しかし「なるべく」ボトミングでぶら下がったほうがトータルで消耗を押させることが出来るので私はボトミングできそうな場所を探しながら登ることが殆どです。

実際のきめかた

では実際にどのようにハンドジャムをセットするか具体的に書いてみましょう。
私の場合具体的なジャムの決め方はこんな感じです。

1・まず手の力を出来る限り抜く
2・手をクラックに入れて脱力状態で少しでも引っかかるところを探す
3・ジャム筋に力を入れる

この時のポイントは2の時で、少しでも手が引っかかるところを探してボトミングを併用するようにしています。
またこれの他に手の甲がフィットする位置を探すのもポイントです。ジャム筋は筋肉なのである程度岩の凸凹に対応できるのですが、手の甲は骨が出ているので岩の凹凸にフィットさせることが出来ません。フィットしないと痛いし支持力が低くなるし良いことがありません。

レイバックミックス

私の場合は普通のハンドサイズクラックではレイバックを交えることはあまりないのですが、斜上しているクラックやハンドジャムには微妙に広いサイズのときにはレイバックを交えながら登ることが多いです。

・ジャム筋がクラックのヘリに引っかかるような場所を探します。
・そのままジャム筋を巻き込むようにレイバックを交えます。
・ジャム筋が引っかかってMP関節が外に回転しようとします。
・それがクラックの中で引っかかりジャミングとして機能します

ここで一つ注意したいのが手首の角度です。 写真のように掌側に曲がってないとこのジャムは上手く決まりません。

順手と逆手

これらを踏まえた上で大まかに淳手と逆手があるのですがまずはメリットデメリットをまとめてみましょう

順手のメリットから

・引きつけしやすく次の1手の距離が伸ばせる
・力を抜いてぶら下がった時に肩などの関節に負担が少ない
・体が上がってもジャムがすっぽぬけにくい

逆手のメリット

・ジャムがきまりやすく、力も抜きやすい
・今の一手が遠くまで届く(逆手のままだと次の一手の距離は伸びなくなる)
・フレアやシンハンドでも決めやすい

そもそも論的に逆手だとジャムがよくきく理由は
逆手で決めたジャムに対して赤矢印の荷重がかかると
クラックとの摩擦がジャム筋をふくらませるのをサポートしてくれるからです。

逆に順手ではジャム筋を押し広げるように摩擦が働くので
逆手よりも摩擦×2だけ多く力を必要とします。

ただし逆手にしていても肘が上がってくるとこのメリットは消えるので
肘が上がらないギリギリ当たり(顔の前くらい?)までが引きつけの限界です。

ジャム自体は逆手のほうが決めやすいけど引きつけなどのムーブは順手のほうが有利なので
ジャム力に余裕があったり岩の形状などを利用して楽に順手を決められる場合は
順手メインで登ったほうがトータルで楽に登れることが多いです。

ただし逆手で決めていたハンドジャムを体が上がってきたらば順手に変えるなど
いろいろな技が使えるサイズなので試してみると良いでしょう。

指の使い方

さてハンドジャムを使うときに指を使うとか使わないとかいろいろは流儀が有るようですが私は使えるものは全て使います♪

具体的には親指以外の4本の指をクラックの内側に押し付けることで
保持力アップを狙ってるんですがちょっとしたコツがあります。

上でも書いたようにハンドジャムを決めるときは手の甲のフィット感が重要です(赤)
そこから基本通りジャム筋(青)を膨らませて最後に第三関節もしくは第2関節だけを曲げて指先に力を込めてあげます(緑)。

指を使う場合でも手の甲までは全く同じ形を保持するのがポイントで、下の写真のように手首の関節を反らせてしまうと第三関節がピンポイントで壁と接触して
痛いし保持力は落ちるしで良いことはありません。 が。。。

クラックの幅がハンドだとスカスカだけどフィストが入らない、そんなオフハンドサイズだとこのジャムを使うことがあるんです。一部でワイドハンドジャムと言っていますがただの力技ですw

ただ力技と言っても手の甲側が少しでも面で接するところを探して、そこでジャムをきめるのが大事になってきます。力を使うのと力任せは違うんですよ♪